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#俺ヒロ
バレンタイン-1年目編-
礼央とひまりはバレンタインがターニングポイントという設定があるのですが、一生形にしないだろうなって感じだったけどせっかくなのでとりあえず文章で書きました よみづれーけどよ。レオ視点!
続きを読む
※礼央とひまりは架空北海道遊ぶ場所イオンしかない市に住んでます
登場人物
日比生 礼央(ひびお れお)
広引 ひまり(ひろいん)
2月14日。
高校に入学してそろそろ一年が経とうとしている。中学生までやっていたサッカーも、高校入学を機にやめた。休み時間は机に突っ伏して過ごしている。今日はやけに甘い香りがして、色めきだった教室から、逃げるように下校した。冬は自転車に乗れないから、移動手段はバスになる。家の近くの停留所まで30分ほど、溜まったソシャゲの体力を消費していれば、あっという間だ。
同じ停留所で降りる人は決まっていて、普段は自分一人くらいだが、今日はもう一人いた。恐らく部活が休みだから、時間が同じになったのだ。初めてではないし、夏の下校中にも認識したことはある。家が近いから。
(広引…。)
小学校一年生のとき、同じクラスで、出席番号が近いから、席が近かった。
そのあとも中学まで、何度か同じクラスになって、数回は喋ったことがあるが、それだけだった。
親同士の繋がりは未だに続いていて、ちょくちょく話題にも出るが、本当に知ったこっちゃないし、クッソどうでもいいから、何を言っていたかは覚えていない。元からタイプも違うし、ましてや異性だ。今後も関わることはない。
バスを降りた俺は今、広引の後ろを歩いている。なんだか俺があとをつけているような感じがして、気まずい。除雪された雪が道の片側に積もっていて、歩道が狭まっているから、慎重に、それでも急ぐふりをして、横切った瞬間。
「わっ」
驚いたのか、雪に足を滑らせて、そのまましりもちをついた。俺は慌ててふりかえって声をかける。
「ッ、ごめっ……!大丈夫か」
「あはは…大丈夫、……ありがとー。」
一応手を差し出すと、彼女は素直に手を握ってくる。手袋の指先が余っている。手が小さいのが伝わってきて、ヒィッと反射で声が出そうになった。
ぐっと引っ張って彼女を立たせると、もう一度「ありがとっ!」と、今度はワントーン高い声で言われた。慌てて手を離すと、彼女はまたにこっと笑って、ぱんぱんとおしりについた雪を払った。
「ごめんね、急いでたんだよね」
「え、いや、ちが……ッ、……。」
急いでたって言えばよかったのに。何なんだ俺は。生身の人間と、まともに会話するのが久々すぎて、反射で嘘をつけなかった。
「違うの?」
「……、いや、なんか、後ろつけてるみたいで、気まずいから……。」
だ か ら 何 だ よ
心の中のもう一人の俺が激しくツッコんでいる。助けて!助けて!助けて!助けて!泣きそうなんだが?
てか、いつまで突っ立ってんだ俺は。俺らは!
早く帰りてえ、こいつもそう思ってるよな、ごめんなさい許してください。逃げ出したい!その思いに反して、俺の足はゆっくりと歩きだす。彼女もそれに合わせるように、横に並んだ。そして二人で帰るような状態になっているのを気にする様子もなく、口を開く。
「じゃあ、追い抜かれたらさ、今度はうちが礼央くんをつけてるみたいになってさ、またうちが追い抜いて……?」
「は?……また俺が、追い抜く……。」
「あは!さすがに礼央くんは追い抜けないけど!足速いもんね?」
なんだこいつ……。人の心にスルスル入ってきやがって。こっちはそういうことに慣れてないんだからやめてくれ……。騙されるな!騙されるな…。帰ったら絶対に、友達におもしろトークとしてこの話をするんだろう。オタクとしゃべったよって。
「ひろ………ひまりも、速かっただろ」
「へへ!」
なんで名前で呼んだのか?こいつが俺を名前で呼んだから。俺の親がこいつを指すとき、名前だから。なにより、今までの人生の中で、こいつの名前を呼んだことは片手に数える程度だっただろうが、記憶の限りでは名前で呼んでいたからだ。小学生はみんなそう。
「あっ、そうだ」
「ん……」
ひまりがゴソゴソと、手提げのカバンを漁る。リュックも背負ってるし、荷物多いなこいつ……。
ぱっと手を開くと、そこには一口サイズの個包装のチョコレートが数個あった。
「バレンタインに配ったあまりー。あげる!」
「あ、あぁ、ありがと」
どんなものであれ、バレンタインにチョコレートを家族以外からもらうなんて!!かなり変な気持ちだ。義理の義理の義理の義理くらいのチョコ。……いや、正直、嬉しいかも。大事に食べるかも。いやいや、さっさと食って消したほうが精神にいいか。さっさと食うわ。
バスの停留所から、俺たちの家はそう遠くない。
「あれっ、そういえば礼央くんの家って、さっきの道……」
「家まで転ばないか、見ててやるから」
見
て
て
や
る
か
ら
……ってなんだよ。キッショ!!?!?
やばいなさすがに、さすがに?さすがにこれはないか。あーーーーー!!!!!!!!
コンマ数秒のスピードで俺の脳は回転している。
そんな俺をよそに、ひまりは無邪気に笑う。
「なにそれー。でもお願いします!」
はーー、怖……。陽キャ怖。
俺だったら絶対に俺の悪口言うからな、絶対言われるわキモいって。もう関わらない、関わらないぞ。こんな光の使者みたいな人間には。もう、今日限りなんだ。
そう思っていたのに。
了
2023-02-15
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オリキャラ
文章
俺ヒロ
2023/12/14(Thu) 20:46
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高校に入学してそろそろ一年が経とうとしている。中学生までやっていたサッカーも、高校入学を機にやめた。休み時間は机に突っ伏して過ごしている。今日はやけに甘い香りがして、色めきだった教室から、逃げるように下校した。冬は自転車に乗れないから、移動手段はバスになる。家の近くの停留所まで30分ほど、溜まったソシャゲの体力を消費していれば、あっという間だ。
同じ停留所で降りる人は決まっていて、普段は自分一人くらいだが、今日はもう一人いた。恐らく部活が休みだから、時間が同じになったのだ。初めてではないし、夏の下校中にも認識したことはある。家が近いから。
(広引…。)
小学校一年生のとき、同じクラスで、出席番号が近いから、席が近かった。
そのあとも中学まで、何度か同じクラスになって、数回は喋ったことがあるが、それだけだった。
親同士の繋がりは未だに続いていて、ちょくちょく話題にも出るが、本当に知ったこっちゃないし、クッソどうでもいいから、何を言っていたかは覚えていない。元からタイプも違うし、ましてや異性だ。今後も関わることはない。
バスを降りた俺は今、広引の後ろを歩いている。なんだか俺があとをつけているような感じがして、気まずい。除雪された雪が道の片側に積もっていて、歩道が狭まっているから、慎重に、それでも急ぐふりをして、横切った瞬間。
「わっ」
驚いたのか、雪に足を滑らせて、そのまましりもちをついた。俺は慌ててふりかえって声をかける。
「ッ、ごめっ……!大丈夫か」
「あはは…大丈夫、……ありがとー。」
一応手を差し出すと、彼女は素直に手を握ってくる。手袋の指先が余っている。手が小さいのが伝わってきて、ヒィッと反射で声が出そうになった。
ぐっと引っ張って彼女を立たせると、もう一度「ありがとっ!」と、今度はワントーン高い声で言われた。慌てて手を離すと、彼女はまたにこっと笑って、ぱんぱんとおしりについた雪を払った。
「ごめんね、急いでたんだよね」
「え、いや、ちが……ッ、……。」
急いでたって言えばよかったのに。何なんだ俺は。生身の人間と、まともに会話するのが久々すぎて、反射で嘘をつけなかった。
「違うの?」
「……、いや、なんか、後ろつけてるみたいで、気まずいから……。」
だ か ら 何 だ よ
心の中のもう一人の俺が激しくツッコんでいる。助けて!助けて!助けて!助けて!泣きそうなんだが?
てか、いつまで突っ立ってんだ俺は。俺らは!
早く帰りてえ、こいつもそう思ってるよな、ごめんなさい許してください。逃げ出したい!その思いに反して、俺の足はゆっくりと歩きだす。彼女もそれに合わせるように、横に並んだ。そして二人で帰るような状態になっているのを気にする様子もなく、口を開く。
「じゃあ、追い抜かれたらさ、今度はうちが礼央くんをつけてるみたいになってさ、またうちが追い抜いて……?」
「は?……また俺が、追い抜く……。」
「あは!さすがに礼央くんは追い抜けないけど!足速いもんね?」
なんだこいつ……。人の心にスルスル入ってきやがって。こっちはそういうことに慣れてないんだからやめてくれ……。騙されるな!騙されるな…。帰ったら絶対に、友達におもしろトークとしてこの話をするんだろう。オタクとしゃべったよって。
「ひろ………ひまりも、速かっただろ」
「へへ!」
なんで名前で呼んだのか?こいつが俺を名前で呼んだから。俺の親がこいつを指すとき、名前だから。なにより、今までの人生の中で、こいつの名前を呼んだことは片手に数える程度だっただろうが、記憶の限りでは名前で呼んでいたからだ。小学生はみんなそう。
「あっ、そうだ」
「ん……」
ひまりがゴソゴソと、手提げのカバンを漁る。リュックも背負ってるし、荷物多いなこいつ……。
ぱっと手を開くと、そこには一口サイズの個包装のチョコレートが数個あった。
「バレンタインに配ったあまりー。あげる!」
「あ、あぁ、ありがと」
どんなものであれ、バレンタインにチョコレートを家族以外からもらうなんて!!かなり変な気持ちだ。義理の義理の義理の義理くらいのチョコ。……いや、正直、嬉しいかも。大事に食べるかも。いやいや、さっさと食って消したほうが精神にいいか。さっさと食うわ。
バスの停留所から、俺たちの家はそう遠くない。
「あれっ、そういえば礼央くんの家って、さっきの道……」
「家まで転ばないか、見ててやるから」
見
て
て
や
る
か
ら
……ってなんだよ。キッショ!!?!?
やばいなさすがに、さすがに?さすがにこれはないか。あーーーーー!!!!!!!!
コンマ数秒のスピードで俺の脳は回転している。
そんな俺をよそに、ひまりは無邪気に笑う。
「なにそれー。でもお願いします!」
はーー、怖……。陽キャ怖。
俺だったら絶対に俺の悪口言うからな、絶対言われるわキモいって。もう関わらない、関わらないぞ。こんな光の使者みたいな人間には。もう、今日限りなんだ。
そう思っていたのに。
了
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